№107-R2.5月号 コロナ禍で起きていること

救済策の拡充

14日夕方の安倍首相の記者会見で、39県での緊急非常事態宣言が解除されることが表明されました。国内経済への不安は残るものの、この半月程で多くの救済策が予算化され、実行されています

主なものでは、1日から申請がスタートした「持続化給付金」や都道府県単位の「休業協力金ですが、何より受給側にとって2週間というスピード感と返還不要という条件は、窮状を凌ぐには大変魅力的です

また、雇用調整助成金についても、手続きの煩雑さや支給までに時間は要するものの、特例措置により支給要件が大幅に緩和されています。こちらも雇用の維持に必要な多額の金銭負担を一時的に補うためには有効な支援策です。

そして、今月から民間金融機関における実質無利子・無担保融資」も開始されました。信用保証付き既往債務の実質無利子融資への借換えも可能ですので、前年同月比で売上高が15%以上下がれば、一度メインバンクに相談を持ちかけるのも良いでしょう。

さらに、政府は20年度第2次補正予算で大幅に減収した事業者を対象に「特別家賃支援給付金」として、家賃の3分の2(最大6カ月分)を助成する案を盛り込みましたその他にも、国税や社会保険の納付も手続きによる猶予が認められるなど、各分野で事業継続に向けての救済策が続々と検討、実施されています。専門家や官庁のHP等から正しい情報と知識を得ることでこれらの制度を有効に利用したいところです。

サブスク市場の拡大

最近、サブスクという言葉を耳にする機会が増えました。「サブスク」いわゆる「サブスクリプション」とは、本来「寄付」や「予約購読」の意味ですが、巷では「定額でモノやサービスが使い放題になる契約」のようなニュアンスで使われています外出が制限されている状況で、「サブスク」はさらに拡大する勢いです。

このサービスの普及は携帯電話契約が発端とされ、今では動画や音楽、ゲームの配信を始め、衣料品や化粧品、スポーツクラブ、飲食店にまで応用されています。

サブスク市場は年々拡大しており、3年後には消費者全体の支払額が1兆円を超えるという試算も出ているようで、身近なデータでは、昨年、映像サービスの利用率で「サブスク」がレンタルを上回りました。

サブスク」は便利な消費スタイルである反面、物価が上がらないというデメリットがあります。その都度取引を決済する「一物一価という原則的な価格の考え方に対し、どれだけ需要が増えて消費がされても値段は上がらないため「価格の低下圧力」の要因になるという問題です

時代の流れで、「所有」から「利用」へ消費者の目的が変化していることも「サブスク」を勢いづけている要因かもしれません。「シェアリングサービス」などもその意味では似た印象ですが、車などの高価格帯では今後利用率も高まることでしょう。この危機を期に「価格」の在り方に対する考えの変化が加速する気がします

ネット会議の普及

ビジネスで起きた大きな変化としては、やはり、ネット会議の浸透ということでしょう。外出自粛の中でテレワークが推奨され、当初は一部の企業が採用できる縁遠い手段と捉えられていましたが、今やプライベートも含めてICT(情報通信技術を利用したやり取りは一般的と言えるほど急速に身近なものになりました

会議や打ち合わせで必要に迫られ、この機会にZoomやTeams、LINEなどを始めるきっかけになったビジネスマンは多いはずです。早かれ遅かれそのような時代は訪れると考えられますので、未来が少し早まったと考えることもできます。

ニューノーマルという言葉も散見するようになり、ビジネスにおいても変化への適応能力が試される機会が増えることを覚悟しなければなりません。多くの企業は「アフターコロナ」に向けて始動しています再開後のマーケットは今までと違うということを前提に、起こり得る変化を見据えつつ、自粛期間中にしっかりと準備を進めておきたいものです。

 

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