№113-R2.11月号 売り上げ目標を立てる

「変動損益計算書」を作成する

企業活動において、「目標・実績管理」は非常に重要な活動です経営ビジョンや中期経営計画、生産管理の大日程計画、中日程計画、小日程計画、広い意味では経営理念も目標の一つと言えるかもしれません。実際の例では、売上目標が最も身近で利用されている「目標・実績管理」になります。

言い換えれば、多くの経営者が最低でも事前に来期の売上目標くらいは立てるということです。プラーベートにおいても、〇〇円貯蓄をする、〇〇の資格を取る、〇〇大学に入学するなど目標設定は自然に行われており、その目標に邁進することで成果が得られやすくなります。

特に、経営における目標設定には明瞭性や具体性、実現可能性がマストです例えば、自動車部品の製造業で「来期5億円の売上を目標とする」という場合はどうでしょうか? 根拠は多くの場合、前期の売上が基準となり、前期比105%などと少し多めに設定して簡便的に作成しています。

しかし、本来、設定数値の5億円については、前期との比較以前に、採算が合う売上か否かの検討が必要ですそのための第一ステップとして、変動損益計算書」を作成し、製造原価や販管費を売上の増減に比例する「変動費(仕入、外注費、消耗品費等)と売上とは無関係に発生する「固定費(給料、地代家賃、保険料等)に分類します

コロナ禍のような売上目標に大幅な見直しを強いられるケースには「固定費の削減が喫緊の課題」と言われるように、目標設定、変更、実績管理には大変便利です

「損益分岐点売上高」を把握する

「変動損益計算書」を作成し、経費を「変動費」と「固定費」に分類すると、見慣れている「損益計算書」と違う観点での気付きが得られます。大きなメリットとしては、「損益分岐点売上高」がすぐに算出できることです

「損益分岐点売上高」は周知の通り、売上高と費用の額がちょうど等しくなる売上高を言います。つまり、「損益分岐点売上高」より売上が多ければ黒字、少なければ赤字という明確な数値基準です本来、売上目標を設定する際には、この「損益分岐点売上高」を目安にしなければなりません

算出方法は、固定費÷限界利益率(売上高から「変動費」を差し引いたものを「限界利益」、限界利益÷売上高が「限界利益率」)です。また、「安全余裕率」は現在の売上高が損益分岐点をどれぐらいの比率で上回っているかを示す指標で、利益を出すための売上増額の目安として利用します。

原則的な手順としては「変動損益計算書」を作成する→固定費の削減及び戦略的増加を検討する→「損益分岐点売上高」を計算する→必要利益を決定する→目標売上高を決定する となります。

特に、赤字が継続している場合には「損益分岐点売上高」を強く意識した目標設定が必要で、未達は会社の存続に大きな影響を及ぼすという危機感を抱くことが重要です。

「収支分岐点売上高」と実績管理

会社が健全に機能するためには、既にお気付きの通り「損益分岐点売上高」+「利益」という算式の中で、「利益」をいかに設定するかという問題があります。実際には経費以外の支出をすべて賄う分の「利益」が必要です。

通常、利益から借入金の返済が必要ですし、割賦契約の支払もあるでしょう。今後の不測の事態に備えるためにもある程度の蓄えも要ります。「利益」にはこれらの支出も加味しなければなりません。そこで収支分岐点売上高という考え方が役に立ちます。

算式は(「固定費」+年間の借入返済額+割賦金支払額(年額)…-減価償却費)÷限界利益率です。さらに、「必要貯蓄額」を「固定費」に加えた目標にすれば、達成の暁には一層企業体力を強化することができます。

最後に、大切なことは「立てた目標を達成すること」です目標達成を実現するためには、売上高を月別に細分化して実績管理することも有効な手段になります。肝心なことは、達成しようという意識ですが、「目標・実績管理」の精度が上がり、習慣化されれば、自ずと必要な売上は付いてくるものと確信します。

 

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