№69-H29.3月号 中部経済の現状と未来

ものづくり、貿易黒字では日本一

国の財政不安や人口減少問題など現役世代の将来不安が年々深刻さを増しています。事業を継続する上でも、商圏となる中部4県の経済動向は特に気になるところです。今号では各種データ、情報を基に中部圏の現状と展望という観点から考察してみます。

中部は「ものづくり産業の集積地」とも称され、我が国の基幹産業とも言える自動車産業を中心とした製造業が盛んな地域です。経産省発表の工業統計調査(14年確報)によりますと、愛知県の製造品出荷額は43兆8313億円で、2位の神奈川県(17兆7211億円)を大きく上回り、38年連続1位ですさらに、他の中部3県(岐阜・三重・静岡)を合わせれば75兆5259億円に達し、全国シェアは24.9%に達するほどになります。また、名古屋税関発表の貿易概況(長野を含む5県)においても貿易黒字を48年間継続しており、30年間連続で1位を維持しています中でも自動車、自動車関連部品が輸出全体の44.3%を占め、ここでも自動車産業の貢献度が顕著であることを物語っています。

このように現状では中部の「ものづくり」が日本経済を支える構図になっていますが、中長期的には若者の自動車離れによる販売台数減少への懸念もありますので、経営者の皆様は「いつまでも自動車頼みという訳にもいかない」という漠然とした不安感も片隅に抱かれているのではないでしょうか。

 

航空宇宙産業、ロボット製造業にも活路

中部では自動車産業に加え、次世代成長産業として航空宇宙産業にも期待が高まっています実は日本で生産される航空機体部品の約8割が中部地域で製造されています。航空機は自動車の100倍以上の部品を使うということで、裾野もさらに広く軌道に乗れば次世代の中部経済を支える産業になり得る可能性が非常に高いです。国産小型旅客機第1号となるMRJの納入時期が5度も延期され、業界に不穏なムードが漂いつつありますが、これも生みの苦しみということで、地元の機運は着実に高まっています。

また、米ボーイング社の最新中型旅客機787型機も機体の35%は日本製で、そこに中部企業が大きく関わっていることからも、既にその存在感は十分です。現在では、愛知県を中心に中部5県48市16町3村と200以上の企業が一丸となって「アジア№1航空宇宙産業クラスター形成特区」を構成し、今後需要拡大が見込まれる航空宇宙産業の世界シェア拡大を目指しています。

その他、ロボット製造業も好調で、日本企業の世界シェアは約5割を占め、その出荷額で愛知県は1位となっています今後競争の激化が予想される分野ではありますが、ものづくりでの基盤ができているだけに、これも大いに発展が期待できる領域といって良いでしょう。

 

リニア中央新幹線の開業と影響

最後に、やはり何といっても2027年に東京(品川)-名古屋間を40分で結ぶリニア中央新幹線の開業はインパクトが大です。ある調査では、開業時の経済効果が10.7兆円に及ぶと試算されています。新幹線で培った高度な技術と安全性は、世界で高い評価を得ていますので、ビジネスや観光で地域経済がさらに活性化し、人口流入も確実に期待できます。反面、東京との距離が近くなることで、「ストロー現象」と呼ばれる、人・モノ・カネが首都圏に吸い上げられてしまうという説もあるようですが…。

他にも、中部の玄関口であるセントレアでは、LCC向け新ターミナルビルの開設や複合商業施設の建設が着々と準備が進められていますし、来月には金城ふ頭に「レゴランド・ジャパン」が開業しますリニアの開通やセントレアの拡大が国内のみならずインバウンド需要も取り込み、観光拠点としての魅力が増せば、「ものづくり拠点」との両翼で、当分の間、日本経済を担う中部圏として大きな役割を果たすことでしょう。これからのこの地域の躍進がとても楽しみです。

 

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