№90-H30.12月号 コンビニの現状と未来
コンビニ3強時代へ
前月30日、コンビニエンスストアのサークルKとサンクスのファミリーマート(以下、ファミマ)への転換が終了し、サークルKとサンクスはともに約40年の歴史に幕を下ろしました。
コンビニ業界再編の中、2016年9月にファミマとユニーグループ・ホールディングスが経営統合し、ファミマブランドへの統一が急ピッチで進められ、サークルKとサンクスの約5,000店舗がファミマへ、約1,300店舗が営業エリアの重複等で閉店しました。その結果、セブン-イレブン(以下、セブン)が20,600店舗、ファミマが16,715店舗、ローソンが13,992店舗となり、ファミマが店舗数でセブンを猛追する展開となっています。
この上位3社で店舗数は全体の約9割超ですから、今回4社から3社に集約されたことで競争はさらに激しさを増しそうです。以前から「コンビニは飽和状態」という声もささやかれていますが、2018年に入ってからも大手7社の店舗数は56,000店を超え、現実は予想に反して増え続けています。
さらに、セブンは来年秋に沖縄進出を決定しており、5年間で250店舗を展開する予定です。今回のファミマの統合が3強の勢力図にどのような影響を与えるか今後の動向に注目が集まります。
縮まらない日販
大手3社の店舗数は9割超で、シェアもほぼ同じ9割超を占めますが、実は店舗数以上に各社のシェアには大きな開きがあります。一般的に、シェアは売上高で決まりますが、その割合は、2017年度末時点で、セブンが40.7%、ファミマが27.9%、ローソンが22.6%となっています。つまり、1店舗当たりの売上ではセブンが大きく差を付けているということです。
平均日販で比較すると、最新のデータでは、セブンの66万6千円に対し、ローソンは53万7千円、ファミマも53万4千円とセブンと他の2社の間には13万円近くの開きがあります。記憶する限り、少なくともこの差は21世紀以降ほとんど縮まっていません。
実際に入店して商品やサービスを比較しても、これ程の差があるようにはとても感じられず、その明確な理由はわかりません。確かに、日本型コンビニのスタートはセブンですし、ATMの設置や最近では100円の淹れたてコーヒーなど数々のイノベーションはセブンが起こし、他社が追随する傾向にあります。立地やプライベートブランドの充実、情報の収集・分析力とその展開方法、商品開発力などの僅かな違いの積み重ねもあるかもしれません。
しかし、決定的な差は、踏み込み(追求)の深さ、徹底の差とも言われています。(実際、ファミマの高柳社長は、セブンを研究した結果、ファミマは「細部が粗い」と語っています。)平均日販の差を見る限り、率直にセブン以外のコンビニの開業を決意するオーナーの動機はかなり疑問です。
コンビニの未来
現状、店舗数の増加は続いていますが、既存店の客数は前年同月比で減少傾向にあります。中長期的には、高齢化でコンビニへのニーズは高まりますが、来店客数が増えることは望めません。また、アルバイト不足も深刻ですし、24時間営業も大きな負担になっています。このような懸念を解消すべく、セブンはNECと提携して顔認証技術で利用者を特定し、会計まで可能な、いわゆる「無人コンビニ」の展開に乗り出しました。
これに近いシステムは既に、アマゾンが今年1月、米国のシアトルで「アマゾン・ゴー」を先行でオープンさせています。天井や棚に設置された大量のカメラやセンサーで誰が何を買ったかを把握し、商品をバッグに入れて専用のゲートから出れば買い物が終わるというもので、今後、省力化と生産性向上には大きく期待できそうです。
こうなると、コンビニ経営も小売業と言うよりは、投資案件というような印象さえ受けます。自動発注、自動運転による自動搬入、自動棚割り、自動決済…、コンビニもその名の通り、便利を追求して変革に挑んでいます。果たして、これから10年、日本のコンビニはどこまで進化を遂げるのでしょうか?
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