№57-H28.3月号 ネット銀行が拡大

ネット銀行とは

インターネット専業銀行(通称ネット銀行)を利用する人が拡大しています。ネット銀行とは、営業上最小限の店舗のみを有し、自前のATMを保有せず、口座の開設から預金申込み、送金手続きに至るまでインターネット経由での取引を中心とする銀行です

金融庁の分類では「新たな形態の銀行」として認可されています。国内大手では現在、ジャパンネット銀行、楽天銀行、ソニー銀行、住信SBIネット銀行、じぶん銀行、大和ネクスト銀行、オリックス銀行(個人口座のみ)の7行が営業しています。

歴史は比較的浅く、いわゆる「金融ビックバン」の影響を受け、2000年10月に現在の三井住友銀行(旧さくら銀行)や富士通、日本生命、東京電力、NTT東日本などの出資で、日本初のインターネット専業銀行であるジャパンネット銀行が誕生したのが始まりです。

当時は銀行の営業時間に合わせて、こちらが銀行へ出向くしかありませんでしたが、24時間365日、インターネットに繋げる環境さえあれば、どこででも残高確認や振込みなどもできるようになり、利便性は大きく向上しました。そのことに加え、店舗やATMの保有コストを大きく削減できることから、一般に預金金利は通常の銀行より高めに設定されています

衰えない勢い

規制緩和が推し進められる背景もあり、ネット銀行(大手7行)の2015年3月末時点での預金残高は11兆9556円と10年前の9倍に拡大しています

また、最新の「日経金融機関ランキング」においても、ソニー銀行が9年連続首位で不動の地位を築いており、中でも「顧客満足度評価」は91.5点と圧倒的な支持を得ています。前述のネット取引の利便性に加え、12種類にも及ぶ外貨預金、低金利の住宅ローン、23時まで対応するコールセンターなど、きめ細やかな対応が評価されているようです。

一方、メガバンクを始め従来の実店舗を持つ銀行も「インターネット支店」なる「ネット専用口座」をやや遅れて立ち上げました。三菱東京UFJ銀行はインターネット支店以外にディズニーと提携した「キャッスルタウン支店」(現在は新規受付停止)や「カブドットコム支店」を開設、中京銀行の「なごやめし支店」や四国銀行の「龍馬支店」、トマト銀行の「ももたろう支店」などユニークな名前のものも含め、現在では多くの銀行がネット支店を保有しています。

このような従来の銀行の対抗策でネット銀行の口座数も頭打ちかと思われましたが、現在では1,400万件(大手7行)を超える勢いで年々増加しており、マイナス金利政策の影響でさらに拡大することが予想されます

メリット、デメリット

利便性や金利といった共通のメリット以外にネット銀行には独自のメリットもあります

楽天銀行は楽天会員であれば、給与の受取りや他口座への入出金利用で「スーパーポイント」が付きますし、じぶん銀行ではauスマホの利用者を一定以上の残高で「WALLETポイント」の対象とし、さらにコンビニATM手数料も無料にするなど、関連会社との連携で自社のメリットを大いに提供しています。

では、デメリットはどうしょうか? 例えば、公共料金の口座振替には基本的に対応していませんし、楽天銀行、ソニー銀行、住信SBIネット銀行以外のネット銀行は現時点で日銀の国庫金取扱業務を行っていないため、国税の還付や国家公務員給与の受取り、年金や雇用保険などの公的機関からの振込用口座には利用できません

また、無通帳取引ですので、過去の取引が書面として必要な場合、ステートメント(取引明細書)の発行依頼をすると比較的高い手数料がかかります

中小企業においてはネット銀行をメインバンクとするケースは滅多にありませんが、以上のような特徴を考慮したうえで、サブバンク若しくは経営者個人としての活用であれば一考の余地があるかもしれません。

 

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