№75-H29.9月号 意外と知らない銀行ATM

限度額をご存知ですか?

先日、所用で現金を200万円引き出す機会があり、近くの信用金庫の窓口に手続きに赴きました。そもそも多額の現金をATMで引き出す機会は滅多にありませんし、最近では振込み詐欺等による被害拡大の影響で、ATMで引き出し可能な金額が自分の中で曖昧になっていましたので、窓口なら間違いないと考えたからです。

その日はたまたま混雑しており、6人ほどの先客がいてしばらく時間がかかりそうな様相でしたので、待ち時間に「ATMではいくらまで引き出せるのか」が気になり始めました。

無事窓口での手続きが終わり、行員さんにいくつかスマホで調べきれなかったことをお伺いしたのですが、まず、自分のICチッブ付キャッシュカードは、1日の取引限度額は500万円に設定がされていることがわかりました。今回であれば、ATMの1回の引出限度額が100万円ですので、2回同じ操作をすれば待たずに終わっていたことになります。

参考までに、限度額の引き上げはICチッブ付キャッシュカードであれば、取引店の窓口で500万円まで1万円単位で設定可能だそうです。また、引出ではありませんが、その信用金庫では70歳以上でATMでの振り込みが3年以上ない顧客に対してはカードでの振込みができない制度も全国にさきがけて実施していることも知りました。

ATMのセキュリティ機能と価格

セキュリティ面についても以前と比べ様々な対策がなされていることに気づくことがあります。都市銀行のATMを利用する際に見かけるのが、「生体認証対応ATM」です。指をATMの生体認証装置にかざすと、静脈パターンをICチップで照合して本人確認をする仕組みになっているため、取引限度額も高めに設定されています。

現時点では、生体認証の後に通常通りパスワードも求められますので、本人以外の引出しについては相当難しいことは理解できますが、振込み詐欺の対策として直接有効かというとやや疑わしい感じです。

その他、画面へのプライバシーパネル(遮光フィルター)添付や後方が確認できる広角ミラーの設置、異常取引検出機能など、ATMにはハード、ソフト両面から多くのセキュリティ技術が備わっています

実はそのATM、都市銀行のもので、1台300万円程度と言われています。車が1台買えてしまうほどの価格ですが、耐用年数も使用頻度から考えると決して長くなさそうですし、メンテナンス費用もそれなりにかかることでしょう。最近ではコンビニATMの利用頻度も上がっていますが、都市銀行のものと比べ、通帳や硬貨の取扱いがない分価格自体も半分強程度に収まっているようです。

ATMが減っていく?

近年、銀行のATMコーナーや設置台数が減り、代わりにコンビニやスーパー内のATM設置が目立つようになってきました。実際、この15年間で都市銀行のATMは1割、地方銀行のATMは5%減少したというデータも出ており、銀行のATM事情が変わってきていることに気付きます。

その背景には、やはり、コスト負担とコンビニATM、ネット銀行の急速な普及がありますその増え方は同時期で6倍に迫る勢いです。導入費用と維持コストについては先程触れた通りですが、24時間営業の利便性や店舗数が大きく影響しているというのが大方の意見です。

今後の展開を見通し、さすがの銀行も自行のATMを増やすよりコンビニと提携する方向にシフトしています。(個人的にはコンビニATMの利用は抵抗がありますが…。)とくに地方の銀行ATMが縮小していくことは避けられないでしょう。社用で銀行ATMを利用する頻度は少なくないと思いますが、状況は確実に変わりつつあります。今回は自分のキャッシュカードとATMの機能について、基本的な部分を調べることで、業界の動向を知ることができました。ここでも意外な切り口から「企業は変化に対応している」ことが垣間見られた気がします。

 

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