第40回 八王子城 <東京都>

天守閣はない本丸跡

城主北条氏照の居館があった御主殿跡と虎口の冠木門

22 八王子城<東京都>

八王子城は関東平野の西端にある八王子城山・深沢山を利用した山城で、戦国時代末期に関東に勢力を誇っていた小田原北条氏(本拠地は小田原城)の三代目当主氏康の三男氏照によって築かれた関東屈指の要害です。

山頂部を拠点とした戦闘用の城で、戦時に要塞となる本丸を中心とした「要塞地区」、城下町にあたる「根小屋地区」、そして城主・氏照の館が置かれ日常生活の場となった「居館地区」の大きく分けて3つの地区で構成されていました。

1590年、天下統一を目指す豊臣秀吉の軍勢に加わった前田利家、上杉景勝、真田昌幸らの軍の猛攻により八王子城は1日で陥落し、この落城が決め手となり籠城を続けていた本拠地の小田原城は開城され、北条氏は滅亡しました。その後、北条氏の治めていた関東は秀吉の配下となり、徳川家康に与えられることになります。

現在では、国の史跡に指定され、発掘調査や整備がすすみ、石垣や虎口、曳橋などが復元されています。また、出土した遺構・遺物の時代を特定できる極めて貴重な遺跡は、その歴史的価値が評価され、重要な文化財の一つとして東京都で初めて「日本遺産」に認定されました。

東京都八王子市

御主殿跡へ続く城山川にかかる現在の曳橋。当時は簡単な木橋で、橋を壊して敵の侵入を防いだと考えられている