№180-R8.6月号 国内株式の動向と見方
個人株主増加の背景
国内の上場株式に投資する個人株主の割合は、近年上昇しています。2001年4月、小泉純一郎内閣による「骨太の方針」で初めて打ち出されて以来、政府は長期にわたり「貯蓄から投資へ」の資金移動を促してきました。
近年では、税制優遇策である新NISAやiDeCoの拡充、さらには老後不安の解消に向けた政策が、その流れを後押ししています。
投資先としては、「全世界株式(オルカン)」や「S&P500」に代表されるインデックス型の投資信託が主流です。それに比べると優先順位はやや下がるものの、株主優待や高配当を目的とした国内上場株式も、長期投資の対象として人気を集めています。
一方、上場企業側でも、コーポレートガバナンス・コード(企業統治指針)の浸透により、取引先との持ち合い株式の解消が進められてきました。その結果、新たな安定株主として個人投資家を重視する戦略が採られるようになっています。
具体的には、保有株数に応じた株主優待の拡充や高配当の実施、株式分割の増加、売買単位が原則100株に引き下げられたことなどです。
また、個人株主の増加は、機関投資家や外国人投資家に比べて、資本コスト引き上げの圧力を受けにくいという企業側の期待も背景にあるといえるでしょう。
統計的に見ると、個人株主数は2024年度末で8,359.4万人に達し、2014年度末(4,582.1万人)と比べて約82.4%増加しています。
株価上昇の要因
国内株式市場では、近年、株価上昇の勢いが強まっています。日経平均株価は、AI関連のハイテク株の上昇や、主に輸出企業の業績改善を背景に、2024年3月に4万円を突破しました。その後、2025年10月には政権交代への期待感もあり、約1年7カ月で5万円を超える水準に到達しています。
現在は概ね6.6万円前後で推移しており、中東情勢の悪化といった外部要因があっても、大きく下落する兆しは見られていません。いわゆる「高市トレード」はやや落ち着きを見せていますが、日本の政策や方向性に対する期待が、特に海外投資家の評価を通じて株価に大きく影響していることがうかがえます。
さらに、これまで低く評価されてきた日本株の見直し(ディスカウント解消)も、株価上昇の要因の一つです。2026年時点でも、日本株はグローバル投資家から「割安(アンダーバリュー)」と見られる傾向が続いています。
多くの企業が高い資産価値を持ちながら、PBRが1倍を下回る水準にとどまっており、依然、投資家からは魅力的な投資対象との認識です。
また、円安基調が続いていることも踏まえると、今後も株価が上昇する余地はあると考えられます。
株式の投資判断
上場株式への投資で利益を得るための基本は、株価が低い局面で購入し、高い局面で売却することです。いわゆる「逆張り」と呼ばれる手法であり、大きな利益を狙える一方で、下落トレンドが続くリスクも伴います。
投資判断において一般的に用いられる分析手法は、「ファンダメンタルズ分析」と「テクニカル分析」の2つです。
ファンダメンタル分析では、企業の財務状況や業績、成長性などを基に、PER(株価収益率)、PBR(株価純資産倍率)、ROE(自己資本利益率)といった指標を用いて、株価が企業価値に対して割安か割高かを判断します。
一方、テクニカル分析は、過去の株価データやチャートの動きを基に、将来の値動きを予測する手法です。売買のタイミングを測る目的で用いられ、「ローソク足」や「移動平均線」、「ゴールデンクロス」などの指標が代表的です。
なお、株式投資でもドルコスト平均法による定時・定額の運用は可能ですが、インデックス型投資信託と比べると価格変動が大きく、長期的な安定運用の手段としてはやや適さない場合があります。増加している個人株主の多くは、キャピタルゲイン(売買差益)よりも、高配当や株主優待といったインカムゲインを目的としていると考えられます。
この点は合理的な投資姿勢とも言えますが、企業サイドにとっては「資本コストの低い長期安定株主」を確保できるという意味で、戦略的に望ましい状況であるとも言えるでしょう。
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