№73-H29.7月号 決済手段の多様化

益々増える決済手段

ここ数年、決済手段が目まぐるしく多様化しています。先日、ディーラーに車検代の支払いで訪れた際、「決済はクレジットカードか振り込みでお願いします。」と言われ、何故か現金での受取りを拒否されてしまいました。

法定費用等の立て替えもありますので、一昔前までは現金か振り込みが主流だったと思いますが、いつの間にか業界の常識? が変わっていたようです。

一方、飲食店やコンビニなどでは、現金はもちろん、クレジットカード、鉄道系や商業系の電子マネー、デビットカード、銀聯カードなど、レジ前で多くの決済手段に対応していることに気付きます。

また、今年中には、ビットコインで決済可能な店が26万店に達する見込みで、販売側は決済手段が次々増えることに苦慮が続きそうです

ディーラーの例はさておき、決済手段の多様化は需要側が強くなっていることの表れとも言えます。外国人観光客の増加もその動きに拍車をかけることになりました。近い将来「仮想店舗で仮想通貨決済」という消費も、ごく普通のライフスタイルになるかもしれません

クレジットカードの利用が増加

2016年のカード決済額は約54兆円で、前年比8%増となっています。これは最近発表された2016年度の税収55.5兆円と比較しても、市場規模がいかに大きいかが実感できます。契約数からも成人人口比で1人当たり2.5枚のカードを所持している計算となり、キャッシュレス社会は確実に浸透してきていると言えます。

実は、カードをはじめとしたキャッシュレス化は、政府の日本再興戦略に盛り込まれる重要施策になっていますので、それを後ろ盾に順調に市場を拡大してきたということも事実です。消費者側は、現金を持ち歩く危険性や煩わしさの解消、後払い、キャッシュバック、ポイントの付与などメリット満載ですので、普及する根拠としても申し分ありません。

発行側の信販会社は、年会費、設置店からの手数料の増加で業績は上々です。ということは、その間で泣きを見ているのが残念ながら事業主ということになります。こちらは反対に、売上の入金は遅くなり、入金金額も手数料が差し引かれているわけですから、現金決済と比べたら良いことはまったくありません。しかし、それでもクレジットカード決済を導入しなければならないのです。

決済手段は増やすべき

先日、百貨店でどら焼き1個をクレジットカードで購入している青年を見ました。自分に置き換えると、現金を所持していなくて、どうしてもどら焼き食べたい時にしかしない行為ですので、とても違和感を覚えました。しかし、隣の販売店でも同じものを売っていて、現金でしか買えないとしたら、その店は販売機会を失ってしまうことになります。

少し極端な例でしたが、販売側がクレジットカード決済を導入しなければならないのも、決済手段を極力多様化すべきなのも、変化する顧客ニーズに対応し、販売機会を逃さないための生き残り戦略だからですこれだけ普及しているとなると、導入が遅れるほどシェアは確実に奪われていきます

手数料の負担は平均4~5%ですので、売上5,000万円の飲食店であれば、現金決済がすべてカードになると年間250万円(仮に5%)の収入減です。売上規模が大きくなるほど、負担額は大きくなってしまいます。今では、クレジットカードが使えないのは、金(きん)や金券、住宅などの高額商品くらいしか思い浮かびません。税金や公共料金はすでに決済可能です。

ビットコインの普及をはじめ、今後もこの動きは加速していくことが予想されます。業種や商品・サービス力にもよりますが、お客様の選択肢から漏れることのないよう、可能な限り決済手段の多様化を受け入れる体制が必要です。「4~5%の手数料がもったいない」と躊躇している時間が長くなるほど、もしかしたら「ゆでがえる」の状態に近付いているのかもしれません。

 

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