№181-R8.7月号 節税商品の罠

ドローン節税・足場節税

「ドローン節税」ブームの火付け役の一つであった大手企業「株式会社ドローンネット」が、2025年12月に東京地裁へ自己破産を申請し、破産手続き開始決定を受けました。巨額の所得隠しも発覚しており、節税スキームを組んでいた顧客や取引先にも多大な影響が出ています

節税の仕組みは、1機あたりの取得価額が10万円未満の事業用ドローンを複数購入し、「少額減価償却資産の特例」を活用して購入費用を1年で全額損金として計上し、法人税等を抑えるというものです。さらに、購入したドローンをレンタル会社に貸し出すことでレンタル収入を得るという運用手法もセットで流行しました。

しかし、このスキームは、過度な節税として広く認知された結果、令和4年(2022年)4月の税制改正で規制の対象となり、主に「主な事業ではない貸し付け」に用いられる資産は少額減価償却資産の対象外として、ドローンをレンタル事業に用いる場合は即時償却ができなくなっています

同様の手法として、以前には「足場節税」も有効な節税策として話題となりました利益を圧縮したい企業(A社)が、建築用足場材料を購入して足場のレンタル会社(B社)に貸し出し、足場のレンタル会社はこれを建築業者(C社)へ貸し出すことで、B社が賃料を得る手法です。こちらは、A社とB社は同族関係の場合が多く、A社の利益の一部を、B社へ移転させる目的で利用されました

不動産小口化商品

「不動産小口化商品」とは、複数の投資家から出資を募り、不動産を共同で運用する仕組みです。特定の不動産を1口数万~数百万円程度の小口に分割し、事業者が不動産の取得・運用を行い、投資家は出資額に応じた権利(持分や受益権など)を所有して、その物件から得られる利益の分配を受けます。少額から始められる手軽さや、資産分散や節税効果への期待で、近年、相続対策の一環としてご相談を受ける機会が増えた商品です

路線価や固定資産税評価額を用いて評価額を大幅に圧縮できることで人気を集めていましたが、こちらにも当局のメスが入り、令和8年度(2026年度)税制改正大綱により、不動産小口化商品の相続税評価方法の見直しが、2027年1月以降の相続や贈与による取得分から適用される予定です。

具体的には、取得時期にかかわらず、相続や贈与時点における「通常の取引価格(時価)」に相当する金額で評価されることになります。また、既存保有分であっても、令和9年以降に相続が発生した場合は、すべて時価評価の対象となるため、駆け込みの取得がないよう注意が必要です少し前に富裕層の相続税対策で、最高裁判決から税制改正へ繋がる契機となった「タワマン節税」の縮小版のようなイメージでしょうか。

過度な節税の結末

以前は、生命保険による節税も多くの利益体質の会社で利用されていました。95歳満期のような平均寿命を上回る期間でも、定期保険であれば全額損金算入できましたので、役員の退職金支給目的として有効な節税商品となり得たからです。こちらも、既に税制改正により節税目的の保険で当時のような魅力的な商品はなくなっています。

このように、過度な節税スキームは、いずれ規制の対象になる運命にあり、国税当局は、常に「後出しジャンケン」ができるのです合法」と称して、生命保険会社や金融機関の担当者が様々な商品を進めてきますし、節税に積極的な一部の税理士も、新しい節税スキームが出ると、安易に提案してくるケースも多いと感じています

素人感覚では判断が難しいと思いがちですが、そんな美味しい話が本当にあるのだろうか?」という節税策に対しては、一旦疑ってみて、顧問税理士(顧問税理士が発信先であれば、セカンドオピニオン)に相談してみるのがよいでしょう。

節税のつもりが、結果的に多額の資金と時間をロスしてしまうような結末を避けるためにも、危ない橋は渡らないことが無難です。税金(納税)に気を取られすぎて、本質的な「(税引き後の)お金を残すこと」を見失わないよう、経営者には慎重で冷静な判断が求められます

 

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